京セラ美術館で開催の『村上隆 もののけ 京都』を鑑賞したレポです。音声ガイドの内容も含めながら、村上作品の解説をしていきます。国内最後の大規模個展ということで、永久保存版として現代アートファンのために残すことにしました。
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『村上隆 もののけ 京都』作品紹介
早速、『
村上隆 もののけ 京都』で展示された作品を見せます。音声ガイド(山﨑賢人)の内容も踏まえて紹介します。ちなみに、画像はフィルター加工なしで載せていますが、実物はもっと明るいです。
まず、受付前の入口に配置されているのが阿像と吽像です。口を開いている方が阿像。
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阿像・吽像 |
受付後の入口すぐに出迎えてくれるのが、『洛中洛外図屏風』と『祇園祭礼図』。どちらも村上隆版。両サイドの部屋の壁全面に配置されているので、作品のごく一部の箇所を撮影。
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『祇園祭礼図』 |
江戸時代の京都の人々の生活を描いたこの大作。構図は一旦
AIで書き出してから、線を人の手で上書きしていったそう。そういえば、以前
こちらの記事で紹介した動画内でも「AIは単なるツールだ」とかなんとかおっしゃってました。
それで、この作品の金箔の部分をよく見てみるとなんと「お花ちゃん」で埋め尽くされているんです!ちなみに、ピンクの雲の部分はドクロになっています。
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『祇園祭礼図』のクローズアップ |
『洛中洛外図屏風』の方はところどころに村上キャラクターが隠されているので隅々まで見てください。
全長10mあるので入口の作品だけでも鑑賞に時間かかる(良い意味で)。
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『洛中洛外図屏風』の隠しキャラ |
入口の廊下を抜けて、真っ暗の部屋に入るとあるのが「青龍」「白虎」「朱雀」「玄武」の四神。特に白虎の迫力が凄まじく、小さな虎たちの表情が愛らしい。
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『白虎』 |
白虎が気に入った人はぜひ大阪万博記念公園にある水族館兼動物園「
ニフレル」にも訪れてほしい。本物のホワイトタイガーが見れます。絶滅危惧種だから貴重です!
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『玄武』 |
玄武の描写もかなり入り組んでいて、これも先生が動画内で言ってたのが甲羅の渦巻きはAIのアイディアだということ。言われないと本当にわからない。
そして、今回の見どころとしてすでに多くのメディアで取り上げられているのが村上版の風神・雷神。ここでは風神だけどうぞ。
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『風神図』 |
"だるいけど暇だから風吹いてるんだよーん"みたいなゆるい顔が今っぽいですよね。2100年代に生きる人々が「2024年の日本人はこんな感じだったのか」と未来人に伝わればいいという思いで描いたそうです。
それと、雷神図の方は雷を力強く描いてしまって、そこからどうやってゆるい雰囲気に持って行こうか悩んだとのこと。力強さ・荒々しさは今の時代にはそぐわないからです。
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via X |
雷神図を見たクリエイターズ・ファイルの秋山さんが「新美の巨人たち」で"テクノみたい"と言っていたんですけど、その表現すごく的を得ているなと思って。
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『かごに入った花束』 |
風神図・雷神図のすぐ隣にあったのが、お花コレクション『かごに入った花束』です。花びらの色やサイズがランダムになっていて、全く顔の違うお花が微笑ましい。
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『かごに入った花束』のクローズアップ |
なんだか自然と母性が湧いてくるような作品ですね。みんなちがって、みんなかわいい。お花コレクションではないのかもしれないけど、ぱっと見村上作品には見えないのもありました。
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『京都 光琳 もののけフラワー』 |
村上作品ってどれもヴィヴィッドな色使いが多いので、この作品の渋さが新鮮でした。よく見ると、朝顔の真ん中が顔になっている控えめなお花ちゃんですね。
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『鮮血を捧げよ』 |
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『鮮血を捧げよ』のクローズアップ |
お花だけじゃなく、ドクロもかわいくできるのが村上隆。幕末の京都の戦場をイメージされたのか血まみれのスカルが積み重なった様子を表した作品『鮮血を捧げよ』。こんなにもたくさんのスカルの配色、どうやって決めるんだろう。
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『ムラカミパンダ』 |
お次は愉快な村上キャラクターたち。上の画像にある左側の眠そうなパンダがすごくかわいいので、ぬいぐるみ化してほしい。クレーンゲームだったら5,000円は課金する。
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『ライオンと村上隆』 |
この作品は、見ての通りかなり大型の作品でしてカメラに収まりませんでした。画像に入りきらなかったけど、獅子の左右にいるちょっとグロテスクなムラカミパンダもチャームポイントです。
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『金色の空の夏のお花畑』 |
本個展の目玉作品『金色の空の夏のお花畑』は、金箔の空に入道雲とひまわりのようなお花ちゃんがわんさか咲いた夏っぽい作品。ザ・スーパーフラット。
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『レインボー』 |
こちらはレインボーなDOBくんの巨大な像。目をじっと見ているだけで暗示をかけられているような気分になる。虹色のヒッピーっぽい配色が人工的で良い。
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『772772』 |
そしてそして、本個展で個人的に最も好きな作品が『772772』。この作品のDOBくんのかわいさは破壊的だ。DOBくんになら、きっと心臓食べられても痛くないだろう。欲しいものなんでもその大きな口に突っ込んであげたい。
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『772772』のクローズアップ |
瞳の中に数え切れないくらいの色を抱えている。DOBくんは何色にもなれるし、どんな姿にも変化できるんだね。
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タイトル不明 |
本個展の作品の中には村上先生のメッセージ付きのものがあって、上に載せた727シリーズに書いてあったのが以下のとおり。メッセージ付きの作品は「言い訳ペインティング」と呼ばれています。
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727シリーズ作のクローズアップ |
言い訳ペインティングには作品の成り立ち、未完である理由、制作秘話など面白い話が書かれているので読むことをおすすめします。製作費とか恩人の悪口とか生々しいこといっぱい書かれてて笑っちゃいました。
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『DOBtopus B』 |
DOBくんのオブジェが何種類もあった。もちろん他キャラクターのもあったけど、タコみたいなDOBくんに魅力されて、他のものは視界に入らなかったんです。
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『Murakami. Flowers Collectible Trading Card 2023』 |
上の4つの作品はNFTコレクション『Murakami. Flowers Collectible Trading Card 2023』の中から、個人的に気に入ったアートだけをピックアップしたものです。全部で100枚以上はあると思う。
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『五山送り火』 |
会場出口の1番近いところに飾られているのが『五山送り火』。これ何かと思ったら、あの有名な山に火をつけるお祭りです。お盆の精霊を送る伝統行事だそうで、東山に「大」の字が燃え浮かびあがる光景が象徴的です。
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『お花の親⼦』 |
ラストは京セラ美術館内日本庭園の池に出現する黄金の像『お花の親子』で締めくくります。池の上にヴィトンのトランクケースが出現する異質な空間。先生はこの作品について以下のように語っています。
この彫刻作品はルイ・ヴィトンと共に制作しました。2003年にスタートしたルイ・ヴィトンとのコラボレーションは、私の現代美術作家としてのキャリアに、大きな足跡を残しました。そのモノグラム・マルチカラーのトランクの上に、にっこり笑うお花の親子の像が立っています。
アートとファッションの垣根を外した、もしくは、アートに幼稚なオモチャ感覚のロジックを組み込んだ始祖は、ともに自分であると自負しています。
日本の伝統的な美学からインスパイアされたスーパーフラットコンセプトの作品を、日本庭園の風景の中でお楽しみください。
村上
最後に|個展を通して思ったこと
以上、『村上隆 もののけ 京都』国内最後となる大規模個展を鑑賞した感想を記しました。
最後に、私が本個展を通して思ったことを3つ伝えます。
まず1つは、チケットの安さ。筆者はふるさと納税を利用して招待券を入手したので、チケットの価格を知らなかったんです。
どれも莫大なコストがかかった作品なのは明白だったので、チケット1枚6,600円くらいするのかと思ったら、
たったの2,200円(一般)で驚きました。
しかも
京都市の大学生以下は無料なのでかなり良心的です。先生がコスト面で苦労したのは"言い訳"読んでいて理解していたので、グッズちょっと多めに買いました。
2つ目は、作品上部ももっと見れたら良かったなと。村上作品はなんといってもデカすぎる。もう壁一面ですよ。地べたから天井までの高さがある作品が多々あるので、ハシゴか何かで登ってもっと鑑賞したかった。
まあ、色んなリスク考えたら無理な話ですね。ハシゴがある展覧会なんて見たことないので。なので、
「村上隆 もののけ 京都」 公式図録を注文しました。これで心を満たすことにします。
3つ目は、村上さんの情の深さがよく伝わりました。カイカイキキのキャラクターが生まれるきっかけとなったダウン症の女の子の存在、先生の作品のためにゴッホの絵を売ったクライアントの話、JP THE WAVYさんへの感謝などなど。
ご自身のお話しというよりかは、制作にかかわってくれた人の話が多くて、メッセージを読んでいて印象がだいぶ変わりました。単にファンキーな人だと思ってたから、人柄が知れて良かった。
オープニングイベントでは、「これが日本で最後の個展」とおっしゃっていたけど、やっぱりこれで最後にはしてほしくない。情が深い先生ならファンのお願い聞いてくれるかも?
『村上隆 もののけ 京都』は2024年9月1日が最終日です。今回載せたのは一部の作品のみです。一生忘れられない作品に出会えるから、みんなも見に行ってね。